孤独でも妄想と仮想世界でヒトは足りるらしい
ひとりの過ごし方のひとつは、妄想にふけることです。
歩きながらだったり、ソファーでくつろいでいるときだったりです。
そして、妄想の最たることは睡眠時の「良い夢」です。現実で足りないことを補った夢だと、夢ではあってもフラストレーションが解放されることもあります。
この夢や妄想といった仮想世界は、どうやら「必然」だったようです。
吉田 脩二(2008)「ヒトとサルのあいだ―精神(こころ)はいつ生まれたのか」文藝春秋
では、
脳が胎児のまま生まれるヒトは、脳神経系を生後の外界で形成するために、仮想の世界が必要であり、そこから精神が誕生したと仮説しています。
オラウータンと比較するとヒトは十か月も早産します。つまり、外界には誕生しても、身体も脳も、まだ胎児のままなのです。そこで必要になるのが、仮想世界で脳神経を形成していくことです。サルなどは出産時に既に形成された脳神経で外界の刺激に対して反応するのですが、ヒトは内側(仮想の世界)からの反応でも脳神経を形成できるようです。
つまり、孤独でひとり妄想をすることでも、我々ヒトにとっては足りるとも言えるでしょう。少し孤独が怖くなくなります。